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    第4話:イけない女

    2017年6月23日

2017年6月23日

第4話:イけない女

多分に人のスイッチというのは様々だ。これをセクシャリティな観点から言うと、互いが信頼関係で結ばれていたとしても、下着を引き裂くプレイに、ある女は興奮を覚えるかもしれないが、ある女は恐怖を感じるかもしれない。人差し指の第一関節の曲がり具合に反応する女がいるかもしれないし、尻を叩かれることで目覚める女がいるかもしれない。

私が23歳の時の話だ。前の会社を”姉さん”事件(第2話)で辞めた私は、とある公益法人に再就職していた。そこはいわゆる法定団体で、私の勤務する本部の下部機関として47都道府県に支部があった。一応、統括する役割にあるので、特定の支部に特別な便宜を図ったり、特別な交流を持ったりすることは公正を担保するという観点から禁止されてはいたのだが、本部が東京にあるのだから自動的に東京支部と密接になるのは自然なことと言える。そんなわけで新しい職員が入れば、定年退職者が出れば、その他諸々の理由をつけてはお互いに挨拶に行き来し飲み会が開かれるという関係だった。

但し、業務に差し支えない範囲でということで、両団体全体での飲みというのはなく、例えば上司に連れられて数人が挨拶に行くと、支部の一部署が飲みにつきあってくれるというようなルールだった。もっともこんなのは”取って付けた”理由に過ぎない。挨拶は勤務時間の終了を狙っていくのだから業務は関係ないし、飲みが始まると上から下まで参加したい人が自主的に集まってくる。要するに飲み会が好きな団体で、飲み会を多く開くために細切れな取り決めを作っていたというだけだ。

私が彼女とはじめて会ったのは3回目の飲み会だった。まだ暑さが残る秋口だったと思う。偶然に座席が隣になったというだけだが、色白なスレンダーで綺麗な顔立ちをしているというのが第一印象だった。しかし、凹凸の少ない和風な顔立ちが悪いのか服装が地味なせいか、良く言えば”隠れ美人”だが、悪く言えば”存在感が薄い”女だった。決して嫌々参加しているという感じではなかったが、かといって楽しんで参加しているという感じでもない。あまり喋べらないが他人の話を熱心に聞くというタイプでもない。彼女に対して持った最初の感想は「会話が続かない」だった。

この手の団体はどこでも同じだと思うのだが、年に一回”大会”が開かれる。担当はブロックごとに持ち回りで、私が入った年はちょうど関東に当たっていた。関東に当たるということはすなわち、ほとんどの場合、東京支部がセッティングを受け持つということを意味していて、東京支部が受け持つ場合は本部が手伝うのが慣例になっていた。本部側は第一事業部の係長が担当だったが、曰く、「色々と経験を積むために」業務は事実上、私に振られることになった。「支部側の担当と協力して、向こうの言う通りにやれ」という指示だったので、「それは”協力”とは言わないのでは?つか新人に丸投げ?」と思ったが、もちろん口には出さなかった。

翌日、私は”協力”するために支部の小会議室を訪れると彼女がいた。相変わらず能面というか無表情で、「先日はどうも」といった社交辞令もなしに淡々と業務の説明に入る。大枠は支部の担当部署で進められるが、その過程で、封書を全国の支部や参加者に送ったり、資料をコピーしてホチキスで留めたり……といった雑用が大量に出現する。要するに、人手が必要なくなるまで支部に出勤して雑用をこなせ、ということであり、ようやく私は係長が丸投げした理由を理解した。

個人的な好みを言えば単純作業は嫌いではない。問題は彼女だった。とにかく息が詰まる。時折、他の職員の出入りはあるものの、基本的に彼女と小会議室に缶詰になっている8時間、会話などは一切ない。沈黙の中、書類を折ったり封筒に入れる音だけが響く。私が手を休めると、監視員のようにこちらを睨んでいる……気がする。雑用から開放されるまで1週間かかるか2週間かかるか分からないが、とても保つとは思えない。その日は金曜日。せめて来週からの業務に幾ばくかの会話を見出すために、彼女を呑みに誘ってみた。断られるのは覚悟していたが、意外なことに彼女はすんなりと頷いた。

呑み屋のテーブルに着く。こういう時は切り出しが肝心だが、彼女の趣味も性格も分からない。私は『しばらく一緒に仕事をするのだから少し親交を深めたい』的な無難な言葉を考えていたのだが、先に口を開いたのは彼女だった。

「メガネをかけてもいいですか?」と彼女は言った。

……それは他人に断りを入れなければいけないことなのだろうか。私は一瞬言葉を失ったが、「もちろん」と言葉を返した。それ以外に言いようがあるか。彼女は「ありがとうございます」と言うと、琥珀色のフレームのメガネをかけ、「はっきり見えました」と笑った。それは、意外に、と言ったら失礼だが、屈託のない笑顔で、喩えてみれば「サボテンの花は思ったよりもだいぶ可愛い」的なギャップがあった。もちろん顔の造りは綺麗なのだから(地味だが)不思議ではないのだが、特に私はセルロイド製のお面のようなイメージを持ってしまったので尚更そう思ったのかもしれない。

要するに彼女は目が悪いのだ。視力は両方とも0.7くらいあるそうだが乱視が酷いらしい。近くは問題ないのだが、距離があると像がブレてしまって、事実上、近視と変わらない。コンタクトも試してはみたが、体質に合わないらしく、ソフトの一番薄い物でも違和感がいつまでも取れずに諦めたという。必然的にメガネという選択になるのだが、鼻が低いために”座り”が悪くずり落ちてくるメガネとの格闘を強いられる(実際、私と話している最中も頻繁にポジションを直していた)。

何より、曰く「これが一番深刻」なのが、彼女は決定的にメガネが似合わないということだった。顔の造りの良さよりもメガネの存在感の方が圧倒的に勝ってしまう。子供の頃からすっと、「メガネ女」と直接、または陰口でからかわれてきたことがトラウマとなって、集団の中では極力メガネをかけないことが習慣になってしまった。なるほど、これで監視しているような視線も、いまいち他人とのコミュニケーションが上手でないことも説明がつく。

もっとも、2人きりで話せばそれほどの違和感もない。会話のテンポが悪いことや、相変わらず話を聞いているんだか分からない態度も、悪気がなく彼女の”持ち味”と理解できれば気にはならない。いずれにせよ私たちは意気投合して、その日は2軒、3軒と呑み屋の梯子をした。

*

目覚めると私の横ですっぽんぽんの彼女が寝息を立てていた。といっても別に彼女を”お持ち帰り”してヤっちゃったというのではない。私たちは時間を忘れて呑んでいて、気がつけば終電がなくなっていたのだ。彼女は深酔いしていたので、放り出すのも気が引けたし、最後に呑んでいた場所が私の部屋に比較的近かったことから朝までの酔い覚ましに連れて来ただけだ。劣情はなかった。この時点では。

彼女の肢体は産毛が目立ってしまうほど、露出している腕や首周りよりも更に白かった。肌の色のみで言えば「ロシア人とのハーフ」とか言われても疑いもしなかったろう。おっぱいは決して大きくはないが形が良く、乳首は桜色で乳輪は1円玉くらいの大きさしかなかった。ちんぽが勢い良く瞬間勃起し、襲ってしまいたい衝動に駆られたが、人としてどうか?という問題もあるし、何より3軒目に行った焼き鳥屋の、髪についた煙と油の匂いや酒の残り香が気になってとりあえずシャワーを浴びにベッドから降りた。

正直な話、彼女がどうして裸なのかは分からない。部屋に戻ってきて、烏龍茶を飲みながら少し話をしたのは覚えているが、私の方が早く寝てしまったのだ。ソファーの上には彼女の衣服が丁寧に畳んで置いてあった。バスルームに入ると床は湿っていた。つまり彼女は私が眠った後、服を脱ぎ畳んでシャワーを浴びてベッドに入ってきたことになるだろうが、控えめに見ても理性的な行動ができないと思ったので連れてきたのだし、訳が分からない。もっとも、幾ら寝ているといっても、恋人でもない男のいる部屋で裸になることが理性的であるとも思えないが。

バスルームから出ると彼女はコットン毛布を身体に巻いたまま、昨晩の烏龍茶を飲んでいた。出会い頭の半裸とフルチンである。彼女はコップを持ったまま硬直したように挙動を止めた。焦点を合わせるように目だけが細められた。私はそのまま彼女に近寄ると、コップを彼女の手から受け取りテーブルの上に置いて、彼女を抱き上げてベッドに押し倒した。この時の行動を説明するのは困難だ。”行きがけの駄賃”というか”男と女が裸ですることはひとつ”というか”せっかく見られちゃったんだから”というか、まあそんな感じではあるのだが、ソレを望んでいるのではないだろうが、ソレもアリ的な雰囲気だったというのが一番近いかもしれない。念のため、彼女の耳元で「エッチしよ」と言うと、彼女は「いいよ」と返した。

程良いというスタイルが評価されるとすれば、彼女の身体はまさにそれだった。スレンダーには違いないがガリガリというのではなく柔らかさに満ちていた。丁度、手のひらに収まる大きさのおっぱいを撫でながらキスをする。唇の弾力も厚くなく薄くなく理想的で、これからこの唇でちんぽをしゃぶってもらうと思うと、かなり興奮した。右の乳首を舌で刺激しながら、左の乳首を指で弄ぶ。彼女の喘ぎ声もやはり高くなく低くなく耳障りが良い。全て”程良く”できているのだ。

逆向きになり彼女の上に乗る。口元にちんぽを差し出すと、彼女は袋を包み込むように両手で支えながら口中に含んだ。暖かく湿った感触がちんぽを刺激する。上下運動をするわけではないが、彼女の舌が亀頭を這っているのが分かる。彼女の両足を開かせると、大陰唇が肥大化したまんこが露わになった。

世に不思議なことだが、時にこういうことがある。全てが整然と収まっているのに局地的に1点のみイレギュラーが出現するのだ。白磁のように滑らかな身体に対して、まんこだけが別の生き物のように皺くちゃで褐色の色合いを湛ており、冬のアスファルトのように冷たい。私は大陰唇を唇で甘噛した後に皮の上からクリトリスを刺激した。全体が大陰唇で覆われているためだろう、愛液の逃げ場は限定され、会淫部はぬるぬると照り光っている。

そのままの体勢から一つになった身体を反転させ女上位の69に持っていく。眼前に迫り出された大陰唇を両手で押し開くと、乳首と同じ桜色の肉襞が現れた。それはまるで”泥の中に蓮が咲く”といった様相で、私はその蜜の中に舌を這わせた後、彼女のコンパクトな尻を両手で掴み、強く口に押し付け膣に舌を挿入しようとしたが、彼女の膣口はあまりにも小さく僅かに先っぽが入っただけだった。

長い間、私たちは互いの性器を愛撫し続けた。彼女のフェラチオは決してテクニックがあるというのではなかったが、執拗にカリから亀頭にかけて舌で嘗め回してくれたので十分に準備は整っていた。私は挿入するために彼女を降すと、正常位のポジションに移動し彼女の両足を抱えた。はじめての女とのセックスは手探りのところがある。それは間違いないが、この時、私は気づかなかったのだ。必ずと言っていいほど普遍的な反応が彼女にないことに。

彼女の膣は入り口と同じように狭かった。大げさな表現をすれば、台所の排水溝に詰まってしまったネズミのようにギシギシと音を立てて”進んだ”という感じだ。根元まで挿し込み抱きしめると、彼女の方からキスを求めてきた。私は彼女と舌を絡ませながら突き上げるために腰を少し引く。その時、心の中で叫んだ言葉を一字一句違わずにここに記す。

うおっ。待て待て待てーーーーって、さっぱり動かしていないに等しんだけど。つか何これコレ何?うわっちゃっちゃー、ヤバイヤバイヤバイわ。マジでマジでマジで!

映画『月はどっちに出ている』風に言えば、私は「ぺたぺたが大好きな日本人」なので、挿入するよりも絡む方が好きで、挿入というのは、言うなればフルコースのデザートみたいなものだ。メインは飽くまでも互いを舐めたり吸ったりすることであって、むしろそれによってある程度までイきやすい状態に持っていくのが目的だ。挿入は最後のイくための(圧倒的に割合が高い)一手段に過ぎない。

リアルな比較対象がないので何とも言えないが、これまで経験した女との会話や反応から推察すると、私は絶倫と言うには程遠いだろうが、決して早漏ではないと思う。たぶん平均値プラスマイナス20%内には収まっているのではないか。もちろん”みこすり半”は初めての経験だが、”みこすり半”ということは、入れて、引いて、入れて、引く途中に発射だから、もっと正確に言うと”瞬殺”である。「入れるよ」「入れて」「イったよ」「はいー?」ということだ。第1話の”知人”が思い出された。「早い!こんなのはじめて!」で”彼女”からソッコーで振られた知人。彼の心の痛みがようやく分かる。

私は幾ばくの慙愧の念から、彼女の腹上に大量に放出したザーメンをティシュで拭き取りつつ彼女の顔を覗き込んだ。顔は少し引きつっていたかもしれない。私は彼女の隣に身を横たえ、「ごめん。良過ぎてイっちゃった……」と素直に謝った。彼女は瞬きを3つして小さく首を傾げた。その姿は失望とも許容とも違っているように見えた。希望的観測込みで言えば、言われていることが分からない、と言った表情だった。

その後、私たちは少し眠り、もう一度セックスをしたのだが、やはり結果は同じだった。全く歯が立たない。”みこすり”が”ななこすり”くらいになっただけだ。ただキツイというだけではない。中指を挿入して確認してみたら、彼女の膣は真っ直ぐ平坦で、どこまでも突起が続いている。紛うことなき”名器”の持ち主なのだ。そして私は仄かに感じていた違和感の正体に気づく。彼女は一回もイっていないのだ。

彼女をひとことで現すと”掴み所のない性格”と言うことができる。それは他人とのコミュニケーションが絶対的に少なかったことが主因ではあったのだろうが、そもそも人にあまり興味がない、ことも大きな原因に思えた。週明けからの業務はストレスがない程度に会話も生まれるようになったが、関係を持った男に対する普通の態度とは一線を画していた。公私混同をしないという倫理観から来るものではない。単に興味が薄いのだ。電車の隣席に座った見知らぬ他人と他愛もない会話を交わすのと同じことだ。冷静というのではない。感情の沸点が高いというか、一種の人としての冷たさを思わせた。私がこれまで会ったことのないタイプの人間だった。

それでも寝る回数が増えれば彼女の”情報”は蓄積される。出身は千葉の南房であり、小さいことに両親が離婚していること。意外にも付き合った男の数が多いこと。あまり関係が続かないこと(これは良く分かる)。ちなみに私の部屋に来たことも、服を脱いでシャワーを浴びたことも、裸のまま私の隣に滑り込んだことも何一つ覚えていなかった。

その中で、はじめてヤった時の私が感じた「言われていることが分からないといった表情」は全く誤解ではないことが分かった。彼女の前では全ての男が早漏であり、挿入して全く動かせないままイった男もいたらしく、「さすがにいきなり中出しされてびっくりした」らしい。彼女にとってセックスというのは”みこすり半”であり、それなりに気持ちがいいが、マッサージをされる気持ち良さと質的に大きな違いはない。更に不感症というのではないが、感度が異様に低くく、クリトリスは相応に敏感ではあるものの、乳首などは恐らくマッサージ以下でしかない。喘ぎ声が出る、というのではなく、セックスの時は喘ぎ的な声を発するものとプログラムされている感じだった。

責め方をクリトリス中心に切り替え、併せてあらゆる箇所──例えばアヌス、尻、背筋、うなじ、耳、脇、指、足のつま先など──の開発に努めてみたが、すべてが不発である一方、私は相変わらず瞬殺を食らっていた。フェラチオなどのちんぽへの刺激もそこそこに突っ込んでも結果は変わらない。一番長くもつのは深く挿入した後、ピストン運動をせずに股間を接着させたまま円を描くようにしてちんぽを膣内で動かすことだが、それでも彼女の名器地獄からは逃れられず、”こすらないで1分”くらいが限度だった。はっきり言って無謀な闘いであることを知った。フェラーリにいすゞで挑むようなものだ。スペックが違いすぎる。

もちろん私としてもヤったらヤられっぱなしだったわけではない。肉体ではダメならと器具にも頼ったのだが、こちらも大きな成果は上がらなかった。どんな女でも昇天でさせる伝説にして定番の武器・電マも気持ちいいよりも「刺激が強すぎで痛い」ということであり、ピンローも同様で、バイブはまんこが狭すぎてやっぱり「痛い」し、唯一、反応が良かったのは主にアナル調教に使われる細身のバイブだったが、これにしたところでイかせるには程遠い代物だった。セックスといっても対話には違いない。相手の反応が悪いのでは、そもそも対話にすらならない。

更に彼女とのセックスには後遺症がつく。狭い膣と無数の突起物にヤられたちんぽは、射精直後は良いのだが、しばらく時間がたつと”痛キモチイイ”感覚が亀頭を中心に襲ってくる。AVによくある強力な媚薬をまんこに塗られた女がこんな感じなんだろうか。もし彼女が24時間隣にいて、いつでもOKならば、オナニーを覚えたサルのように死ぬまで繰り返し突っ込んでいるかもしれない。

実際、彼女が元彼からストーカー被害を受けた経験は1度や2度ではないらしい。中には東京支部の職員も含まれていたことを上司から聞いた。最終的に元彼は警察沙汰になり辞職したらしいのだが、そのせいもあって本部支部の彼女に対する評価は総じて、「大人しいから狙われてしまう可愛そうな娘」だった。しかし恐らく真相は違う。彼女は子供が飽きた玩具を放り投げるように元彼を捨てたのだろうし、元彼は彼女との瞬殺セックスを他人に占有されるのが嫌でストーカーになったのだろう。

幸いなことは、彼女が最強ハニートラップの武器を持っているにもかかわらず、自分でその力を認識していないばかりか、本人的に特にセックスに執着があるわけではなく、いち団体職員として普通に日々を送っていることだろう。ひとつ間違えば、どんな男でも破滅に導くスーパー下げまん”●●●●●”になり、際限なく被害を拡大させたかもしれない。

結論的に言えば、私と彼女の関係は7、8ヶ月くらい続いた。誘うのはいつも私だったが、捕まったという元彼と共通したところがあったのだと思う。性格が合うというわけではないし、セックスが面白いというわけでもない。事実、全てにおいて敗戦した私は、すでに彼女とセックスは楽しむというのではなく、彼女を少し愛撫し、彼女から少し舐めてもらい、挿入するという倦怠期の夫婦のようにルーティーンプレイをやっていた。ただ締め付けによる快感が激烈過ぎて止められない。穴中毒である。

だからそれは特に何かを狙った行動ではなかった。彼女は正常位で挿入される時にキスを求めるという性癖を持っていた。私には、唯一、それが彼女のセックスという”状況の認識”のように思えた。ある意味、それを乱そうとする嗜虐的な、もしくは復讐的な感情であったかもしれない。私は彼女の顔を両手で挟み「舌を出せ」と言った。

突然、彼女の体中から汗が噴出し、まんこからも愛液が溢れ出した。顔が紅潮し、息遣いが荒くなり、両手の指を私の肩に深く突き立てたまま全身を痙攣させた。ちんぽの”滑り”が急激に良くなり、押し込むというよりも”吸い込まれる”ような感覚を味わった。

というか、スイッチ、そこ?

彼女の話だと、(淫靡な)言葉に反応して過去に2回くらいイけたことがあるらしい。もちろん、愛液が多量に分泌されることによって瞬殺を避けられるわけではないのだが──いやむしろ更にヤバいのだが──、やはりイってくれれば率直に嬉しい。但し、「舌を出せ」は二度と通じなかった。言葉によってスイッチが入るということが分かっても、言葉のみでは発動しないのだし、たとえ条件が整っていたとしても言葉は星の数ほどある。私はしばらくの間、セックスの度にソフトSMチックなシチュエーションを醸してみたり、言葉責めをやってみた(どれも不発だった)。

そう、しばらくの間……。

彼女の結婚話は上司から聞こえてきた。いつもの東京支部情報──つまり”次の呑み会情報”だが、今回は彼女の都合で挨拶も来られなければ、呑み会も開かれないという話だった。何でも、自分のことで呑み会を開かれるのは気が引けるし、また結婚を来月に控えていることから、残務処理を済ませ有給消化からそのまま退職になるので時間がない、という話だった。

私は些か驚いた。来月に結婚をするということは、普通に考えれば式場の予約などの準備で半年くらいは前に決まっているはずだ。もっとも最近は多様化しているので一概には言えないが、それにしたって昨日今日の話ではないだろう。私と彼女は2,3日前にも会っていたし、これまで結婚どころか付き合ってる相手がいることすら聞いたことがない。

一方で、彼女の”人への興味が薄い”という性格を考えれば納得できる部分もあった。仮に私が彼女を誘わなかったとしても、彼女が私を誘うことはなかっただろう。しかし仮に私が彼女に結婚を申し込んだならば、彼女はすんなり受け入れたようにも思う。それは婚約者がいてもなお、私との関係を何事もないように続けていたことからも分かる。貞操感の高低とかの話でもなく、そういう感情を合わせていないのだ。

いずれにせよ私は彼女を誘うことを止め、予想通りそのまま何事もなかったように関係は終わった。1年くらいして彼女が離婚したというような話を風の噂で聞いたが、真偽の程は分からない。

しかし、アレは凄かったな(笑)。

実は普通に私も使っていたりする(笑)。登録しといて損はなし 出会いが見つかる安心の老舗優良マッチングサイト PCMAX

第4話:イけない女

by rmzo time to read: <1 min
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