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ヘンリー塚本 不純の愛 110分間の抜ける有害図書

[レビュー]

ヘンリー塚本監督というと作品の多産で有名だが、2018年後半──つまりこのあたり──を境にして監督作品が激減していく。それは弟子が育ったこともあるだろうし、次世代を目した転換期ということもあろうが、本レビューを書いている2019年末から振り返れば、かなり物寂しい。

この実にヘンリー塚本らしい”ショートフィルムを重ねて一本作る”というタイプの作品は、だいたい年に1本の割合で制作されてきたのであるが、転換期に2ヶ月後の『ヘンリー塚本 ナマナマしいファック 人生いろいろ』と”このタイプ”が2本続いた。

俯瞰的に感想を言うとまず出演者が豪華である。10年以上という長きに渡ってヘンリー塚本作品を彩ってきた「小池絵美子」「風間ゆみ」という2大女優が出演しているし、「熊谷麻美」も10年近くいぶし銀的にヘン塚作品に出演してきた女優で、「葵千恵」はここ数年の主要な女優であるからヘンリー的にフルキャストに近い。

次に内容としては、作品の安定感は殊更に言うまでもなく、更にえげつないストーリーが多いので大変面白い。ショートフィルム故にちょっと書けばネタ割になり兼ねないので断片的に記すと、「不純相関」の便所でオナっているところを思いっきり見られる、という構図はヘン塚やその周辺を含めて繰り返し使われてきたのだが、いつ見てもおかし過ぎる(※)。

※:このパターンで一番面白いのは、ながえスタイル『不謹慎な場所でオナニー 「ディルド」を手放せない女たち』の「こずえまき」パート

「葵千恵」「小池絵美子」パートの変態遊戯はヘンリー塚本作品の定番のプロットであるが、香り立つ背徳と官能という意味でいつ見ても特筆すべきものがある。最もえげつないパートは「有宮まこと」の貧乏画家の妻、で色白爆乳むっちむちの身体のいやらしさもさることながら、他の男に抱かれても全く動じない夫のクズ加減が何とも風情がある(笑)。

最後にどうでもいい話ではあるが、私は「春原未来」の顔が好きだ(本当にどうでもいい)。

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