ヘンリー塚本 美しき女のおけつ
[レビュー]
原美織
ヘンリー塚本監督作品ではかなり珍しい「お尻」のフェチ物。おっぱいは定期的にある。接吻も定期的にある。付帯してべろ、つばもあるがお尻というのは記憶にないのでもしかしたら初めてかもしれない。
そういう意味では──ヘンリー塚本監督がケツフェチを撮ったらどうなるか?という意味では──リリース前から大変興味深々であった。結論から言えば、ヘンリー作品の中で多用されるケツ撫で、ケツ舐めの範疇を出てはいなのだが、おっぱいにもま●こにも目をくれず「ケツ」なのだから登場人物のアブノーマル性がいつもより際立ってキャラ的に面白かった。
構成的には120分の4編なので各々30分程度の中編で組み立てられるヘン塚的スタンダード。
1.隣の人妻のおけつの出演は「汐河佳奈」。「葵紫穂」名義の時から出ている常連で、さすがのFA的安定感。この偏狭な隣人と被害者の奥さんというのは定番のプロットだが、今回一味違うのは、奥さんの逆襲とも言うべき後段があること。ファン的垂涎要素。
2.可愛い女のおけつの出演は「原美織」。細くて白くて貧乳のヘンリー作品に必ずいる炉担当で、「日高ゆりあ」や「川嶋あみ」の後継的な位置にいるのだろうが、監督はこの女優が好きなんじゃないかな?と思うくらい、いつも良く撮れてる。
3.一人住まいの飢えた女のおけつの出演は「瀬戸すみれ」。一転、妄想オナニー物。一人暮らし女(もしくは嫁ぎ遅れた女)のヘンリー作品の描き方はいつも哀愁に満ちているが、この”投げ出し”感が秀逸。
4.好き者彼女のムッチリおけつの出演は「成宮いろは」。目配せしてトイレに行くので公衆便所物か?と思ったら良い意味で肩透かし(笑)。「成宮いろは」の、この熟女でありながら持っている独特の可愛さが凝縮されており、「成宮いろは」ファン必見。
もともとヘンリー塚本監督というのは作中の効果音をあまり用いない作品なのだが、サイレントとも言うべき中で映像だけで吶々と魅せていく造りは老練さの賜であろうと思う。映画で言えば黒澤明もマノエル・ド・オリヴェイラも作品を重ねる毎に寡黙になっていった。いやマジで。
原美織